「なぜ、美術大学に行ったこともないのに、画家になろうとしたのですか」と町会長。

「中神先生は、会社の色々なシステムを作って会社に貢献し、人の3倍の仕事はしているという意識があったので、あるとき上司の課長に、『給料を3倍にして欲しい』と言ったのだそうです。」

「課長は何と答えたのですか」と町会長。

「『確かに君は人の倍ぐらい働いているが、会社のシステムというものがあるから、君だけ給料を3倍に上げるということはできない』と言われてしまったのだそうです。」

「それで、どうしたのですか」と町会長。

「翌日、部長に同じことをお願いすると、全く同じ答えが返ってきたので、『それでは、会社を辞めさせてもらいます。僕は働いただけ、収入がある仕事をします。』と言って、辞表を提出したのだそうです。」

「辞表を提出したのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「辞表を提出したら、部長は何と言ったのですか」と町会長。

「部長は、『この仕事を止めて、何をするのかね』と聞いたそうです。」

「中神先生は何と答えたのですか」と町会長。

「『画家になります』と答えると、部長は唖然として、何も言わなかったそうです。」

「それで画家になったのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「給料が不満だからと言って、会社をやめて画家になろうという人はいませんよね。上司は驚いたでしょうね」と町会長。

「驚かない人はいないでしょうね。しかし、家に帰って、奥さんに会社を辞めて来たからと話すと、少しも動ぜず『ああ、そうですか』と言っただけだったそうです。」

「奥さんも普通の人ではありませんね」と町会長。

「『あれは、できたやつだ』と中神先生は言っていました。」

「中神先生は、翌日から絵を画き始めたのですか」と町会長。

「翌朝、奥さんはいつものように食事の支度をし、中神先生もいつものように食事をして、いつものように駅まで行ったとき、『あっ、そうだ。俺、会社を辞めたんだ』と気が付いたそうです。」

「それで、どうしたのですか」と町会長。

2020/9/29

<筆者の一言>
一般の企業でプログラミングが原因かも知れないと思うような問題が起こった場合、どのように対処すればいいのだろうか。

例えば、設備を管理操作するソフトを新しいものに更新して問題が起こった場合、昔なら、『導入したてなので、問題点を少し修正すれば以前のものより使いやすくなる』と説明を受け、実際、その通りになったはずだ。

ところが、プログラマーの短期記憶が低下すると、問題点を修正したら新たな問題点が生じてしまうということになる。コップを洗っている最中に『ムクドリ』の原稿を書こうと思ったら、数字が書いてあるボトルを回し忘れたのと類似した現象が、ソフトを修正しているプログラマーの頭の中で起きてしまうのだ。

例えば、プログラムの修正を始める時に、AとBを変更しなければと考えて修正を始めたが、途中でCも修正しなければと気がついて、他のことを始めたりすると問題が起きやすい。

その結果、新しく導入したソフトに問題があったとき、そのソフトを制作したプログラミングの会社に修正を依頼すると、指摘した問題点が改善されたとしても、他の問題が生じる可能性があるのだ。

それでは、新しく導入したソフトに問題があったとき、一般企業はどのように対処したらいいのだろうか。<続く>

2023/9/12